物体が回転するとき、中心から外側に向かって遠心力がかかる。よく知られたなじみ深い物理現象である。
(遠心力というのは見かけの力ではあるが、その辺の詳しい説明は割愛しておく)
この遠心力は高校物理で
ma = mrω2 (m:質量、a:加速度、r:半径、ω:角速度)
となることを導出する。
実際にこの関係になるかを確認してみた。
※今回はrを固定して、ωを変えて検証した。
プラレールを用意し、レールを円形につなぐ。
プラレールの3両目に貨車をつなぎ、その上にスマホを置いて加速度を記録。
スマホは進行方向をY軸、進行方向と90°の方向にX軸が向くように置く。
ちなみに1両目に速度が2段階で変わる車両(はやぶさ)を使用。
低速(速度①)は円形に繋いだレールを1周するのに9秒かかるので、角速度ω = 2π / 9 = 0.70 rad/sで回転していることになる。高速(速度②)は1周するのに6秒かかるので、角速度ω = 2π / 6 = 1.05 rad/s。
上はX方向の加速度。最初は停止していて、開始9秒後くらいに速度①(低速)で発進。動き始めると車体が揺れるせいか、かなり加速度がばらついている。
次に40秒過ぎに一度停車させ、速度②(高速)に切り替えて、再発進。やはり揺れが大きい。
このままでは遠心力がかかっているかよくわからないので、上のグラフに書き込んだ赤線の範囲のデータを抜き出して平均化してみた。
(停車中のデータは3か所のデータを合算した)
横軸を角速度、縦軸を加速度の平均値としてプロット(青四角)すると、角速度が上がると加速度も上がっている。
ここでプラレールのレールの直径は43㎝(→ r = 0.215 m)だったので、a = rω2に代入して計算したのが薄緑丸のプロット。
少しずれているものの、なんかいい感じに一致している。
ただこれでは速度に応じて加速度が大きくなっていることはわかるけど、ωの2乗に比例しているかはわからない。
そこで、横軸をωの2乗にしてグラフを書き直そう。そうすれば直線になるはずなので。
ほら、直線になった!
やはりωの2乗に比例しているようだ。
平均値はいい感じに理論値と一致したのだけれど、そもそもものすごくばらついていたデータを使って求めた平均値であることが引っ掛かる。
下は平均値を求めた時の元のデータをヒストグラムにしたものだけど、停止中も速度①も速度②もほとんど分布が重なっていて、有意差があるデータなのかどうか。。。
ということで有意差があるデータなのか確認してみた。ω = 0.7と1.05のデータをExcelのT.TEST関数を使って比べてみた。
T.TEST関数の計算結果が0.05以下であれば一般的には平均値が異なると判断されている。(T.TEST関数というかt検定については今の私にはうまく説明ができなかった。この説明で逃げさせていただく。。。)
今回の場合7.7×10-6という結果になり、有意差はありそうだ。今回の場合、角速度以外は実験条件は変わっていないので、平均値の違いはやはり角速度の違いで生じたといってよいだろう。
まぁでも上で平均値に有意差があるという結果になったけれど、、、数字をこねくり回した結果に見えてしまうな。
データの数が増えれば平均値のばらつきは小さくなっていくが、350個ものデータを使ってるからな。
データの数を増やすことは実験の精度をあげるための正当な手段なのだけれど、、、なんかこれでいいのかなという感じが残る。
やっぱりもっとバシッとこれが遠心力だって感じできれいなデータを見せたいってのが本音。
そもそも今回の実験は外乱が大きすぎる。今回プラレールを使って実験してみたけど、見ていると横滑りを繰り返しながら進路を変えていっているように見える。この横滑りするときの加速度が、今回のデータのばらつきの大きな要因のような気がする。
また、今回もまっすぐにスマホを置けなかったせいで、重力加速度の成分がデータに乗ってきてしまったようだ。(ω = 0の時の加速度が 0 m/s2でない。)
というわけで実験のやり方を見直して再挑戦することにした。